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能者助言集

第1回 霊媒体質で悩んでいる方へ -中編- 明智歳徳先生

憑依の恐怖を無用に煽り立てる娯楽番組

霊媒体質

テレビのオカルト特集などを拝見していると、心霊スポットの現地ロケなどで心身のコンディションが悪化したタレントに対して、随行した霊能者、祈祷師と称する人物が仰々しいお祓いの儀式などを執り行う場面がありますが、あれは単なる見世物的なパフォーマンスに過ぎません。また仮に本当に実力のある祓い手であれば、一瞬、裂帛の気合いを注入するだけで、本人の自然治癒的な浄化能力を引き出し、たちまち憑き物を追い出すことができるはずです。

たとえ虚実織り交ぜた娯楽番組であったとしても、いったん霊に取り憑かれてしまうと、専門家があそこまでしなければ祓うことはできないという先入観を植え付けている点で、罪作りであると言わざるを得ません。とくに普段から霊に取り憑かれやすいと自覚されている方に取って、ああいうシーンを見せられるのは恐怖以外の何物でもないでしょう。

これはかなり以前の話なのですが、心霊スポットとして知られた某地の廃屋へ深夜に無断侵入した男女のグループが数日後、人づてに私のことを知って道場へ飛び込んできたことがありました。彼らから話を聞くと、まず廃屋内を探検しての帰り道、数台の乗用車に分乗していたうちの1台が山道のカーブを曲がり損ねて岩壁にぶつかり、3人が負傷。さらに翌日には残りのメンバーも皆、交通事故や生活上の不注意などで思わぬ怪我をするという事態に陥ったそうです。「これは祟りではないのか。もしそうであれば、すぐにでもお祓いをして欲しい」と血相を変えて頭を下げてきました。

本当に凄まじい怨念に侵されたのであれば、彼らが訪れる前に私の方で感知できるはずです。そのため、「怪我をされたのはお気の毒でした。でもこれは霊的にどうこうということではないので、とくに除霊や祈祷の必要はありません。当然、鑑定料もいただきません」とまで申し上げたのですが、どうしても納得してもらえませんでした。そこで念のために霊視してみたところ案の定、現場で拾った微弱な憑き物は見えたものの、生きている人間に害悪を為すほどのパワーなどは持っておらず、辛うじて彼らの思念の隙間に入り込んでいる程度でした。つまり交通事故も様々な怪我も含めて、全ては当人たちの負の思い込みが引き起こした事態であったと思われます。

複数の人間が非業の死を遂げた場所に土足で踏み込んだら、さすがに不謹慎ではないか……そうした後ろめたい感情が無意識に影響して、自己懲罰的な現象として現実化したのでしょう。それを敢えて祟りと言えば言えないこともありませんが、少なくとも厳密な意味での心霊現象とは違います。この日は当事者たちに安心してもらうために簡単な邪気祓いをして終わりましたが、その後、祟りが続いたという話は一向に聞きません。その時の縁でたまに私の元で精神修養をする当時のメンバーもいるのですが、彼はとても元気に暮らしており、昨年には素敵な女性と結婚して可愛い赤ちゃんも生まれています。もちろん彼に対して、特別な霊難除けの祈祷などは当時も今も一切施しておりません。

下手な霊感の回路は閉じておくに限る

こういう仕事をしておりますと、霊が見えて困る、あるいは霊の声が勝手に聞こえてくる、という方にもたまに遭遇することがあります。そういう方を透視すると、普通よりも霊感が鋭いのはもちろんなのですが、それと同時に過度の疲労を負っていることが多いようです。

生まれつき霊感レベルが高い人間が常に睡眠不足であったり、昼夜逆転の不摂生な生活を続けていたりしていますと、鋭い感覚がさらに過敏になり、人霊界を含めた異次元の情報が視覚や聴覚を通して飛び込みやすくなります。ですから、幽霊を見たくないという方は、まずは早寝早起き、そして規則正しい食事と運動を心掛けるようにしてください。それを続けてもまだ見てしまうというのであれば、個別にご相談に応じさせていただきます。

霊界と現実界はひと続きと言われますが、ふたつの世界はあくまで人間の意識を回路としてつながっています。こちら側の意識の持ち方次第で、霊界と深く結びつくこともできるし、逆にあちらからの働きかけを拒絶することもできるわけです。どちらをお選びになるかは皆様のご自由ですが、私は「下手な霊感の回路は閉じておくに限る」ということを、最後に申し上げておきたいと思います。

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